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大阪地方裁判所 平成4年(ワ)10303号 判決 1995年12月12日

大阪市城東区諏訪四丁目一三番三一号

原告

原口ケース株式会社

右代表者代表取締役

原口隆夫

右訴訟代理人弁護士

葛井重雄

葛井久雄

大阪市東住吉区住道矢田四丁目二〇番二四号

被告

有限会社モトキ

右代表者代表取締役

元木賢

右訴訟代理人弁護士

兼松浩一

大阪市中央区森ノ宮中央一丁目一六番二三号

被告

株式会社貴粧

右代表者代表取締役

大久保俊久

右訴訟代理人弁護士

小村建夫

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求の趣旨

(主位的請求)

一  被告有限会社モトキ(以下「被告モトキ」という。)は、別紙目録3記載のケースの製造販売をしてはならない。

二  被告株式会社貴粧(以下「被告貴粧」という。)は、別紙目録4記載のケースの製造販売をしてはならない。

三  被告モトキは、原告に対し、金五二七万一三三〇円及びこれに対する平成四年一二月三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  被告貴粧は、原告に対し、金三三〇万円及びこれに対する平成四年一二月三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

五  仮執行の宣言

(予備的請求)

一  被告モトキは、原告に対し、金五二七万一三三〇円及びこれに対する平成七年一月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告貴粧は、原告に対し、金三三〇万円及びこれに対する平成七年一月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  仮執行の宣言

第二  事案の概要

一  原告の製造販売にかかる商品

原告は、指輪、ネックレス、アクセサリー等の宝飾ケース(美術ケース)の製造販売を業としている(争いがない。)。

原告は、別紙目録1、2(各「説明書」を含む。)記載の品番のリングケース、ネックレスケース、アクセサリーケース、宝石箱及びディスプレーを製造販売している(甲第三号証、証人原口重孝。これらの商品の形態は、別紙「原告商品写真目録」の該当品番の写真のとおり〔ただし、RF-六五の写真はEF-六五の写真と同一〕である。以下、これらを総称して「原告商品」という。)。

二  被告らの行為

1  被告モトキは、各種宝飾ケースの製造販売を主な業務とし、別紙目録3の「リングケース」「ネックレスケース」「アクセサリーケース」欄記載の品番の各商品を製造販売し(争いがない。)、株式会社寿製作所製造にかかる同目録の「宝石箱」「ディスプレー」欄記載の品番の各商品を販売している(乙第一九号証、被告モトキ代表者。これらの商品の形態は、別紙「被告モトキ商品写真目録」の該当品番の写真のとおりである。以下、これらを総称して「被告モトキ商品」という。被告モトキ商品中、右宝石箱、ディスプレーについては、これを被告モトキが製造していると認めるに足りる証拠はない。)。

2  被告貴粧は、宝石箱の輸出入、販売を主な業務とし、別紙目録4記載の品番のリングケース、ネックレスケース及びアクセサリーケースを販売している(争いがない。これらの商品の形態は、別紙「被告貴粧商品写真目録」の該当品番の写真のとおりである。以下、これらを総称して「被告貴粧商品」という。なお、原告は、被告貴粧は被告貴粧商品を製造していると主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。)。

三  原告の請求

(主位的請求)

原告は、原告商品の形態は、不正競争防止法二条一項一号にいう「他人の商品等表示…として需要者の間に広く認識されているもの」に該当する(いわゆる商品表示性、周知性を取得している)ところ、被告モトキ商品の形態は別紙目録1の原告商品の形態に、被告貴粧商品の形態は別紙目録2の原告商品の形態にそれぞれ類似しているから、その製造販売により原告商品との混同を生じると主張して、同法三条一項に基づき、被告らに対し、被告モトキ商品、被告貴粧商品の製造販売の停止を求めるとともに、同法四条に基づき、原告の被った損害の賠償として、被告モトキに対し五二七万一三三〇円、被告貴粧に対し三三〇万円及び右各金員に対する訴状送達の日の翌日である平成四年一二月三日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(予備的請求)

原告は、被告モトキ商品及び被告貴粧商品は原告商品のいわゆるデッドコピーであり、被告らによるその製造販売は不法行為に該当すると主張して、被告らに対しそれぞれ主位的請求と同額の損害賠償及び右各金員に対する訴えの変更(予備的請求の追加)の日の翌日である平成七年一月二五日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

四  争点

1(主位的請求について)

原告商品の形態は、商品表示性、周知性を取得しているか。

2(主位的請求について)

被告モトキ商品の形態は別紙目録1の原告商品の形態に、被告貴粧商品の形態は別紙目録2の原告商品の形態にそれぞれ類似し、その製造販売により原告商品との混同を生じるか。

3(予備的請求について)

被告モトキ商品及び被告貴粧商品は原告商品のいわゆるデッドコピーであり、被告らによるその販売は不法行為に該当するか。

4(主位的請求及び予備的請求について)

被告らが損害賠償責任を負う場合に、被告らがそれぞれ原告に賠償すべき損害の額。

第三  争点に関する当事者の主張

一  争点1(原告商品の形態は、商品表示性、周知性を取得しているか)

【原告の主張】

原告商品の形態は、以下のとおり、その形態の特異性及び原告自身の著名性、販売実績により、昭和六一年には、宝飾ケースの取引業者、宝飾品販売業者の間において原告の商品であることを示す商品表示としての機能を取得し、周知性を取得するに至っている。

1 原告商品の形態の特異性

原告商品は、宝飾品等のケースとして美術的な美観を具備するために、商品の種類(リングケース、ネックレスケース、アクセサリーケース)を問わず、後記(一)の四つの普遍的特徴を具えているうえに、個別の商品毎に後記(二)の顕著な特徴を具えているから、他社の商品と比較して明白な特異性を有している。

(一) 原告商品の具えている四つの普遍的特徴とは、<1>蓋と身の両方の外枠は、防錆のためのコーティングを施した鉄板をプレス加工し、又はプラスチック成形し、その外枠に対して特殊な機械により外面が均一になるように緊密にベルベット、合成皮革を貼付したうえ、外面と内側の折込みには全く折込みしわが出ないように加工してあること(なお、例外的に木製函を作るときは、最高木材を使用する。)、<2>その蓋の内部にはボール紙を芯としてサテンを内張りしてこれを蓋内部分にはめこんで、蓋を開いた状態で重厚な外観を顕出していること、<3>身の部分の台紙(宝飾品等を展示する箇所)の部分には、スポンジを内包してベルベットをかぶせるか又はベルベットに形成を行って重厚感を持たせるようにセットし、そのセットのための接着に原告が独自に開発した防錆のりを使用し、特に銀装の宝飾品等には防錆の効果を持たせてあること、<4>身と蓋の開閉には特殊なバネ付蝶番を使用し、身と蓋の開放状態における角度が正確に八〇度になるようにし、その上に外部からバネ類の露出を妨げるために通称ツリと呼ばれる布製の装飾部品をかけわたしてあること、である。

「今日のように技術革新により、品質および技術の面からみて商品が平均化し、規格化すると、商品の個性化、選抜性に対する消費者志向に合わせ、市場において、自己の商品に差別的特徴を付与するためには、新しい機能の開発によるか、または非機能的面での特徴を付加していくほかない。後者の方向が、商品の容器包装あるいは商品自体の形態(または形状)を工夫して選定する結果をもたらす。このような個性化の努力により、一つの商品の形態が長期間継続的に、排他的に使用され、あるいは、巧妙な宣伝広告により、消費者に効果的に訴えられると、商品形態の差別的特徴が消費者の心理に、特定の品質をもった特定の出所の商品と結びつけて記憶されるようになる。このようにして、商品の形態の価値が競争市場において認識されると、これを媒体とする不正競業行為が増加するようにな」る(特別法コンメンタール不正競争防止法一二〇頁)。本件における原告商品には、まさに、右にいうところの商品形態の差別的特徴が具備されているのである。

例えば、リングケースの中には、デザインが平凡で世にありふれた形式のものがあるが、このありふれた同型のリングケース多数の中から原告商品を選別、識別することは、この種業界の者にとっては容易なことなのである。それは、原告商品を手にとって、蓋を開け、ケースの各部を点検すると、その商品の仕上がりの美しさ、堅牢さを明らかに見分けることができるからである。その仕上りの美しさ、堅牢さの由って来る所以が原告商品の具えている前記四つの普遍的特徴に外ならない。

指輪、ネックレス等の宝飾品のケースはいわば包装品であって、商品の主役はあくまで中に入る指輪、ネックレス等の宝飾品そのものである。宝飾品を購入する客は、容器であるケースではなく、中身の宝石や細工や貴金属の使用など、宝飾品本体の美術性にその購買意欲をかきたてられるのであるから、そのケースがどの業者の製品であるか等の点について極めて関心が低い。しかし、どんな立派なダイヤをつけた指輪であっても、粗末なケースに収納されているとガラス玉かと思われるし、反対に豪華なケースに収納されているとガラス玉でもダイヤに見違えるということもある。したがって、宝飾ケースの購入者である宝飾店は、このあたりの機微により、ケースを選ぶことになる。

原告商品は、外見のデザインとは別に、他社のケースとは異なる前記四つの普遍的特徴を具えていて、高級ケースとして業界で定評があり、宝飾店で広く知られており、多くの固定客がいて、高級宝飾品用に使用されているのである。

(二) 原告商品が個別の商品毎に具えているデザイン、形状面での個別的特徴は、別紙原告商品個別的特徴一覧表Ⅰ、同Ⅱのとおりである。

これらのデザイン、形状の特徴は、多種多様にわたっているので、それぞれの特徴を把握することが困難ではないかという疑問もあろう。しかし、宝飾ケースを扱う小売業者、卸売業者は、各ケースを単品だけで購入することはあまりなく、陳列ケースでの統一のため、トータル的な色彩、素材、デザイン思想でデザインし作製されたリングケース、ネックレスケース、アクセサリーケースを一式として仕入れるのである。そのため、原告は、これらのトータル商品を何組か作り、これをカタログに掲載してカタログによって販売する。これらの業者は、トータルに原告のデザインを知ることになり、これをもとにして原告から商品を購入することになる。

原告商品の個別的特徴のうち、例えば、品番R-五一等について使用されている合成皮革のリカーフについていえば、従来ケースは紺のベルベットをケースの外に張ったものが主流であったが、これを金、銀、プラチナ、真珠、色石等の宝石、貴金属のいずれともマッチする色を研究して、グレーを開発し、それをトータル的に製品化したものである。このグレーの色は原告独自のもので、何回も試作を重ね特別に染めたものであり、また、ベルベットではなく合成皮革のセームを使用し、より高級感を出すことに成功するなど、その開発には大変な努力と研究を重ねているのである。

(三) 被告モトキは、原告商品の形態が出所表示機能を有しないとする根拠につき、原告商品に形態が類似する商品として株式会社ムラカミ及び株式会社アートブレインの商品を挙げる。しかし、別紙比較表Ⅰ(ケース比較説明書)及び検甲第一、第二、第四、第五、第六号証の各1・2、第三号証の1ないし3(ケース比較表)のとおり、原告商品と株式会社ムラカミ、株式会社アートブレインの商品との間には形態上明らかな相違がある。

宝飾ケースはある程度画一性を持っているので、高級、低級は別にして、その形や色彩、形状は各社の製品についてそれほど大きな外観上の差異はないように見えるが、宝飾ケース業界は、原告を含めた大手業者のせいぜい三、四社程度がほとんど全部のシェアを占めている寡占状態であり、各社は、株式会社ムラカミにしても株式会社アートブレインにしても、それぞれ自社製品に誇りと自信を持ち、できるだけ他社製品との選別性を持たせるため、それぞれ、デザイン、工程等で工夫をこらしているので、これら宝飾ケースを取引する業者は、各社の製品を識別することができるのであり、実需家でも品番その他を見て識別することが容易である。

2 原告の営業と原告商品の販売実績

(一) 原告は、その販売先は日本全国に及び、宝飾ケースの製造量、販売量とも日本で屈指の業者であって、宝飾ケースの業界では著名である。

(二) 原告は、自社製造にかかる宝飾ケースの大部分の写真を各種別に編集したカタログを制作し、このカタログに従って作った定価表とともに顧客に示して受注し、定価表に掛け率をかけた卸価格で販売している。

(三) 原告のカタログ、定価表に登載されている各種宝飾ケース(本件で問題となっている原告商品以外のものを含む。)の販売総額は、カタログを制作した昭和五七年一〇月一日から平成四年九月三〇日までの間で一八九億円に及んでいる。

【被告モトキの主張】

不正競争防止法二条一項一号、三条及び四条による請求権発生の要件としては、原告商品の形態が出所表示機能を果たす程度の特徴を有する必要があるが、以下のとおり、原告商品の形態は出所表示機能を果たすほどの特徴を有していない。

1 原告主張の原告商品の四つの普遍的特徴について

(一) <1>のうち、蓋と身の両方の外枠について防錆のためのコーティングを施した鉄板を用いるという点は、外枠に用いる鉄板に防錆加工をすることは一般的に行われていることであるから特徴とはいえないし、そもそも防錆加工は形態とは全く関係がない。

鉄板をプレス加工し又はプラスチック成形しているという点については、ケースの外枠の素材は、一般に、鉄板、プラスチック、木、紙のいずれかであり、いずれもしばしば用いられるものであるから、この点も特徴とはいえない。

外枠にベルベット、合成皮革を貼付することも一般的である。

外枠に対して特殊な機械により外面が均一になるように緊密にベルベット、合成皮革を貼付したうえ、外面と内側の折込みには全く折込みしわが出ないように加工してあるという点は、加工仕上げをいかに美しく行うかの問題であり、形態に関する特徴の問題ではない。これを特徴というのであれば、原告以外の製造業者は、製品を美しく仕上げていないことになる。

(二) <2>のうち、蓋の内部にはボール紙を芯としてサテンを内張りしてこれを蓋内部分にはめこむことは、一般的に用いられる手法である。

蓋を開いた状態で重厚な外観を顕出しているという点は、評価の問題であり、客観的な状態を指すわけではないので、本件で問題となる特徴とはならない。

(三) <3>のうち、身の部分の台紙(宝飾品等を展示する箇所)の部分に、スポンジを内包してベルベットをかぶせるか又はベルベットに形成を行って重厚感を持たせるようにセットすることは、台紙作製の方法として一般的な二つの方法にすぎない。

台紙のセットのための接着に原告が独自に開発した防錆のりを使用し、特に銀装の宝飾品等には防錆の効果を持たせてあるという点については、そもそものりの種別が何故形態に関連するのか不可解である。のりの部分は見えない部分であり、仮に製品を解体したとしても、どのような種類ののりであるか判明するというものではない。

(四) <4>のうち、原告商品における身と蓋の開放状態における角度が八〇度であるかどうかは知らない。

バネ付蝶番の上に外部からバネ類の露出を妨げるために通称ツリと呼ばれる布製の装飾部品をかけわたしてあるという点は、ツリは蝶番隠しともいい、他のメーカーのほとんどの製品において使用されているから、特徴とはいえない。

2 原告主張の原告商品の個別的特徴について

(一) 原告商品と類似する商品を製造している業者は数多くあるが、そのうち、原告商品にそれぞれ類似する被告モトキ、株式会社ムラカミ、株式会社アートブレイン及び他三社の各商品の品番を対応させて記載すると、別紙比較表Ⅱ(ケース品番比較表)のとおりである(PG欄は各カタログにおける掲載ページ数を、乙1等は書証番号を示す。「受注生産」とあるのは、カタログ中には掲載されていないが、注文を受ければ製造することを示す。)。

原告は、検甲第一、第二、第四、第五、第六号証の各1・2、第三号証の1ないし3(ケース比較表)に基づき、原告商品と株式会社ムラカミ、株式会社アートブレインの商品との間には形態上明らかな相違がある旨主張するが、原告、被告モトキ、株式会社ムラカミ及び株式会社アートブレインの商品のほか、日本ジュエルケース株式会社及び昭和ケースの商品の形態につき、原告作成の比較表Ⅰに倣って各項目(太線以下は被告モトキにおいて追加した項目)毎に比較すると、別紙比較表Ⅲ(ケース比較)のとおりである。これを見ても分かるとおり、各社の製品は大同小異である。サイズについても各社似たり寄ったりであり、原告商品に特徴があるというわけではない(被告モトキはサイズにそれほど着目して製造しているわけではなく、同表中のケース比較3及び5記載のとおり、原告商品のカタログ上のサイズ表示と検甲第三号証の1ないし3及び検甲第五号証の1・2付記の表に記載されたサイズ〔おそらく実測と思われる。〕が異なることからしても、原告においてもさほどのこだわりがあるとも思えない。)。

(二) 原告商品の品番R-五一等の外装にリカーフを用いているという点についていえば、リカーフとは、正式には第一化成株式会社が製造している商品名「ジョイス五五」を指すものであり、これは、原告自身が開発した材料でも、原告の指定のもとで開発された材料でもない。

ケースの外枠にグレーを使用しているという点については、様々な商品に様々な色彩が用いられているが、グレーは典型的な色彩の一つである。

セームを使用しているという点については、宝飾ケースの製造業者のほとんどがセームを使用した商品を製造している。

【被告貴粧の主張】

1 原告が原告商品の特徴と主張する点は、形態(表示)に関するものではなく、不正競争防止法二条一項一号と関係のないものである。

2 別紙比較表Ⅳ(比較写真目録)の各頁に掲載されている原告商品、被告貴粧商品、第三者の商品の対比から明らかなとおり、原告商品と同一形態の商品が市場に出回っており、原告商品に特異性は存しない。特に、同表各頁下段に掲載の商品中、株式会社ムラカミ製造にかかるツバサケースの品番六〇三、六四五、五二三、株式会社アートブレイン製造の品番一三三-P、株式会社エーワ製造の品番四六〇BRWを除く商品は、すべて昭和五二年以前から存在している(なお、右品番六〇三に対応する被告貴粧商品の品番R(E)F六五〇及びPF六五〇は、後記のとおり被告貴粧が原告から仕入れたものであるから、何ら問題はない。)。どこに原告商品の特徴があるのか全く不明である。

要するに、宝飾品のケースは、同一ないし類似の商品が市場に多数出回っており、原告も、既に出回っている株式会社ムラカミ等の商品の形態を真似てきたものである。このような状況のもとでは、商品形態が他から区別された個性のあるものとして特定人の商品の指標となることなどありえない。

二  争点2(被告モトキ商品の形態は別紙目録1の原告商品の形態に、被告貴粧商品の形態は別紙目録2の原告商品の形態にそれぞれ類似し、その製造販売により原告商品との混同を生じるか)

【原告の主張】

1 被告モトキ商品、被告貴粧商品は、原告商品の個別的特徴(前記一【原告の主張】1(二))であるデザインを、サイズ、形状、機能的に盗用した模造品であり、いわゆるデッド・コピーである(被告モトキ商品は別紙目録1の原告商品を、被告貴粧商品は別紙目録2の原告商品を模倣したものである。)。すなわち、被告モトキ商品、被告貴粧商品と原告商品との形態は全く一致しているのみならず、サイズもほぼ同じである(誤差程度の差があることもある。)。使用される材料も、同種又は外見上同一に見えるものを選択しており、使用される色彩も大体同じものが多い。

原告商品の四つの普遍的特徴(前記一【原告の主張】1(一)の<1>ないし<4>)についても、被告モトキ商品、被告貴粧商品はその外形的形態を模倣しているものの、原告商品の持つ仕上がりの美しさ、堅牢さからはほど遠い。例えば、<1>の点では、外面と内側の折込みについて折込みシワが出ないように細工を心がけているものの、工程の少なさや製法のノウハウの不足から製品にばらつきがあり、また、<4>のバネ付蝶番も、原告と同じ椎名金属製のものを使用しているものの、その品質管理がいいかげんなことと工程を少なくしている関係で、身と蓋の接合にガタができたり、身と蓋の開放状態における角度が八〇度からずれたりしている。

このように、被告モトキ商品、被告貴粧商品は、原告商品の四つの普遍的特徴及び個別的特徴の全部を模倣しているが、その模倣は粗悪であり、工程、原材料、製法の省略から粗悪低廉な模倣品を製造し、これをもって原告の永年開拓してきた販路に割り込もうとしているのである。他の同業者の商品で原告商品の右普遍的特徴及び個別的特徴を具えているものは見当たらず、被告らの競業は著しく不正である。

2 被告モトキは、宝飾ケースの販売が、各社で作成されたカタログと定価表によりセールスマンが宝石商、貴金属商、時計商等の業者を回り、顧客から注文を受ける方法で行われており、かつ、著名な業者として業界で信用の高い原告がそのカタログによって販売実績を上げていることに着目し、1のとおり原告商品を模倣して被告モトキ商品を製造し、これを原告のカタログと同じように配列したカタログとそれに合わせた定価表をも作成し、あたかも原告の製造した宝飾ケースを販売しているかのように装って営業活動を行い、これら顧客が原告商品と混同して購入を申し込むと、定価表の割引率を原告の行っている割引率より引き下げて販売し、原告の営業を不正に妨害している。

3 被告貴粧についても、被告貴粧商品と原告商品との混同を生じさせて原告の営業を不正に妨害していることは、右2記載の被告モトキの場合と同様であるが、被告貴粧の場合は、更に悪質であり、原告商品をそのまま自社のカタログに掲載したり、原告の商品番号の末尾に0をつけて自社の商品番号としたりして全体としては原告のカタログの内容と全く同じものを含むカタログを作り、それにより営業活動を行っている。

【被告モトキの主張】

1 前記のとおり、各社の製品は大同小異であり、原告商品に特に特徴があってそれを被告モトキが真似ているという状況にはない。

別紙比較表Ⅲ(ケース比較)の追加項目を見ても分かるとおり、被告モトキ商品は原告商品と相違する。

2 原告の主張は、宝飾ケースの業界及び実需家の間では一般に各社の製品を識別することができるとする一方、原告商品と被告モトキ商品、被告貴粧商品とは識別することができないことを前提とするようであるが、原告商品と被告モトキ商品、被告貴粧商品について、個々の製品が単に似ているということを超えて宝飾ケースの業界及び実需家の間で識別できない状況にあることについては、立証がない。

かえって、原告は、原告商品の四つの普遍的特徴についても、被告モトキ商品、被告貴粧商品はその外形的形態を模倣しているものの、原告商品の持つ仕上がりの美しさ、堅牢さからはほど遠いとか、<4>のバネ付蝶番も、原告と同じ椎名金属製のものを使用しているものの、その品質管理がいいかげんなことと工程を少なくしている関係で、身と蓋の接合にガタができたり、身と蓋の開放状態における角度が八〇度からずれたりしているとか、その模倣は粗悪であり、工程、原材料、製法の省略から粗悪低廉な模倣品を製造しているなどと主張し、原告商品と被告モトキ商品、被告貴粧商品との相違を殊更強調している。もし、真に原告の主張するような相違があるのであれば、反復継続して同一製品を取り扱う宝飾ケースの業界内や実需家の間で、原告商品と被告モトキ商品、被告貴粧商品を区別することは可能なはずである。つまり、原告は、一方で製品の類似性を言い、他方で原告商品は高品質で、被告モトキ商品及び被告貴粧商品は品質が劣ると言うために、矛盾を来しているのである。商品形態の類似性と品質とは別個のものであり、形態において類似でも品質には差がある、との主張はありうるが、原告は、原告主張の原告商品の四つの普遍的特徴の中に「外面が均一になるよう」「全く折込みしわが出ないよう」「重厚な外観を顕出し」「重厚感を持たせるよう」などと商品が高品質であることも含めているため、矛盾をはらんでいるといえる。

【被告貴粧の主張】

1 被告貴粧代表者は、個人で文房具店を営んでいたものであるが、平成三年九月一七日、友人の勧めもあって被告貴粧を設立し、宝石箱の販売等をすることにしたものである。

したがって、被告貴粧代表者は、宝石箱に関しては全くの素人であり、原告がどのような会社であるか全く知らなかった。

2 そして、被告貴粧は、被告貴粧商品を、平成四年四月から、左記のとおり被告モトキ又は吉尾ケース製作所から仕入れているものである(原告から仕入れているR(E)F-六五〇、PF-六五〇を除く。)。

商品番号 仕入先 仕入先の商品番号

(リングケース)

RK-一〇四 被告モトキ RK-一〇四

RK-三〇六 右同 RK-三〇六

RW-一〇四 右同 RW-一〇四

R-五一〇 吉尾ケース製作所

R-五二〇 右同

R(E)F-六五〇 原告 RF-六五

(ネックレスケース)

N-七〇〇 被告モトキ N-二〇六

NE-七〇〇 右同 NE-二〇六

NER-七〇〇 右同 NER-二〇六

N-五〇 右同 N-二〇三

N-五六〇 吉尾ケース製作所

N-五五〇 右同

(アクセサリーケース)

BL-五五〇 吉尾ケース製作所

K-五四〇 右同

T(B)-五四〇 右同

BL-五四〇 右同

P-五三〇 右同

E-五一〇 右同

PF-六五〇 原告

したがって、被告貴粧には、被告貴粧商品が原告商品の完全模倣品であるかどうか分らないし、その認識もなかった。

3 そもそも、宝飾ケースについては、前記のとおり同一ないし類似の商品が市場に多数出回っているのであるから、商品の出所の混同は生じないというべきである(前記一【被告貴粧の主張】2のとおり、商品形態が他から区別された個性のあるものとして特定人の商品の指標となることなどありえない。)。原告自身、前記のとおり既に出回っている株式会社ムラカミ等の商品の形態を真似てきたものであり、宝飾ケースの業界がそのような業界であることは原告もよく承知していたはずである。

4 原告は、被告貴粧のカタログの内容を非難するが、その非難は当たらない。たまたま被告貴粧に元原告の従業員がいたことから、同人にとっての記憶の便利さから、原告商品と同型の被告貴粧商品について原告商品の商品番号の末尾に0をつけたものである。その際、同人が専門家に尋ねたところ、違反とならないとのことであった。どこの製造会社でも同型の製品を販売しており、どこの製造会社の品番でもよかったのであるから、特に原告を標的としたものではなかったのである。

また、被告貴粧が原告から仕入れているリングケースR(E)F-六五〇及びアクセサリーケースPF-六五〇を原告が差止請求の対象としていることは理解し難い。原告商品を被告貴粧が転売してはならないということはありえない。

三  争点3(被告モトキ商品及び被告貴粧商品は原告商品のいわゆるデッドコピーであり、被告らによるその製造販売は不法行為に該当するか)

【原告の主張】

1 原告の営業

原告は、前記のとおり、指輪、ネックレス、アクセサリー等の宝飾ケースの製造販売を業とし、その販売先は日本全国に及び、宝飾ケースの製造量、販売量とも日本屈指の業者である。

2 被告らによる権利侵害

(一) 宝飾ケースの業界は、原告のほか株式会社ムラカミなど二、三の大手の業者による寡占状態にあり、各社は、それぞれ自己の製品について独特のデザイン、工夫をこらしており、この種製品を扱う業者であれば、商品を手でさわり、目で見ただけで判別ができるのである。例えば、リングケースのように、商品それ自体に共通項の多いものであっても、それに使用されている材質、色彩、デザイン、開閉角、内部の構成、内部材質の構成、止め金、蝶番などを総合的に判定して製造会社を特定することができるのである。

その他、宝飾ケースの卸売は専らカタログによってされることが多く、カタログにおける品番、商品展示方式などにより、その商品の製造会社が判定できるものである。

このように原告がオリジナルを開発し、製造し、又はこれをカタログに編集して商品をアレンジしたものについては、他社の商品との識別性が明らかに認められ、それぞれのデザイン、性能は、原告特有のものであって、これを完全に模倣することから守られるべき法益として認められるべきものである。

(二) 被告モトキは、宝飾ケースの販売が、各社で作成されたカタログと定価表によりセールスマンが宝石商、貴金属商、時計商等の業者を回り、顧客から注文を受ける方法で行われており、かつ、著名な業者として業界で信用の高い原告がそのカタログによって販売実績を上げていることに着目し、原告商品(別紙目録1記載のもの)と規格、形状、材質、色彩、付属金具が全く同じコピー商品(被告モトキ商品)を作り、これを原告のカタログと同じように配列しそれに合わせた定価表をも作成し、あたかも原告の製造した宝飾ケースを販売しているかのように装って顧客に対しセールスを行い、これらの顧客が原告商品と混同したり、原告商品の廉価なコピー商品として購入を申し込むと、定価表の割引率を原告の行っている割引率より引き下げて販売し、原告の営業を侵害している。

(三) 被告貴粧についても、被告貴粧商品と原告商品(別紙目録2記載のもの)との混同及び原告の営業の妨害の方法は右(二)記載の被告モトキの場合と同様であるが、被告貴粧の場合は、更に悪質であり、原告商品をそのまま自社のカタログに掲載したり、原告の商品番号の末尾に0をつけて自社の商品番号として全体としては原告のカタログの内容と全く同じものを含むカタログを作り、それにより営業活動を行っている。

【被告モトキの主張】

原告が不法行為の違法性を根拠付けるものとして主張する事実が仮に存在するとしても、これだけでは不法行為が成立するまでには至らないというべきである。

【被告貴粧の主張】

1 原告は、既に出回っている他社の商品の形態を真似てこれと同一ないし類似の商品を製造し、例えばリングケースRK一〇四、RK-三〇六は株式会社ムラカミの商品と同一ないし類似の商品を「寿」の字を変えるなどして販売しているだけであって、そこには保護に値する利益は何も存在しないというべきである。

この点の原告の主張が仮に認められるとしても、権利の濫用というべきである。

2 また、被告貴粧は、被告貴粧商品を製造しておらず、他から仕入れて販売しているだけであったため、被告貴粧商品が原告主張の原告商品の特徴と同一の特徴を有しているか否か、本訴になるまで全く知らなかった(同一の特徴を有しているとの立証もない。)。

3 被告貴粧のカタログは、明確に「株式会社貴粧」と明記してあり、原告と間違うことなどありえない。原告と似た商号とはとてもいえないし、問い合わせればすぐ分かることである。

そのうえ、カタログ掲載の被告貴粧商品についても、原告の主張からすると原告商品と間違うことはないはずである。もし、宝飾ケースの業界の人間が被告貴粧商品を原告商品と間違うというのであれば、それは原告商品には特徴がないということであって、原告の主張は矛盾することになる。

商品番号については、被告貴粧の社内の便宜上原告の商品番号を利用したが(前記二【被告貴粧の主張】4)、そのまま利用したのではなく、0を一つ多く付けて利用したのであって、原告が「寿」の字を変えて株式会社ムラカミの商品と同一ないし類似の商品を製造販売したのと比べれば、まだ幼稚というべきである。もし被告貴粧に右の点で不法行為が成立するのであれば、原告の行為についても不法行為が成立するというべきである。

四  争点4(被告らが損害賠償責任を負う場合に、被告らがそれぞれ原告に賠償すべき損害の額)

【原告の主張】

1 原告と被告らは、市場において、原告商品と被告モトキ商品、被告貴粧商品の販売について完全な競業関係にあり、被告モトキ商品、被告貴粧商品は原告商品の模造品として代替販売されているから、被告らが被告モトキ商品、被告貴粧商品の販売により得た利益は、原告が被告らの行為によって被った損害というべきである。

2 被告らの得た利益の額は、推計によって算定せざるをえないところ、以下のとおり、被告らの一年間(平成三年一一月一日から平成四年一〇月三一日まで)の売上高を決算書類等により推定し、その全売上高のうちカタログ販売による売上げの占める割合を算出し、更にカタログに掲載された全商品の定価の合計額に占める模造商品(被告モトキ商品又は被告貴粧商品)の定価の合計額の割合に基づいて模造商品の売上高を推定し、これにこの業界における一般的な利益率を乗じることによって求められる。

(一) 被告モトキ関係

(1) 被告モトキの一年間の売上高 四億八〇〇〇万円

(2) カタログ販売による売上げの占める割合 七〇パーセント

(3) カタログに掲載された全商品の定価の合計額 四六万六一七〇円

(4) 模造商品の定価の合計額 七万三一三五円

(5) 利益率 一〇パーセント

(6) 被告モトキの得た利益

四億八〇〇〇万円×〇・七×(七万三一三五円÷四六万六一七〇円)×〇・一=五二七万一三三〇円

(二) 被告貴粧関係

(1) 被告貴粧の一年間の売上高 一億円

(2) カタログ販売による売上げの占める割合 一〇〇パーセント

(3) カタログに掲載された全商品の定価の合計額 九万四六二五円

(4) 模造商品の定価の合計額 三万一五六〇円

(5) 利益率 一〇パーセント

(6) 被告貴粧の得た利益 一億円×一×(三万一五六〇円÷九万四六二五円)×〇・一=約三三〇万円

【被告らの主張】

原告の主張は争う。

第四  争点に対する判断

一  争点1(原告商品の形態は、商品表示性、周知性を取得しているか)について

原告は、原告商品の形態は、その形態の特異性及び原告自身の著名性、販売実績により、昭和六一年には、宝飾ケースの取引業者、宝飾品販売業者の間において原告の商品であることを示す商品表示としての機能を取得し、周知性を取得するに至っていると主張する。

しかして、商品の形態は、商品の機能をよりよく発揮させる等の目的で選択されるものであり、商標等とは異なり、本来的に商品の出所を表示することを目的として選択されるものではない。しかし、商品の形態が他者の商品と識別しうる独自の特徴を有している場合には、当該商品がその同一の形態をもって長期間にわたって独占的に販売されるとか、当該商品の形態自体について強力に宣伝広告がされる等の事情により、商品形態が商品表示性を取得し、これが周知性を取得することがあるので、この観点から検討する。

1  宝飾ケース業界の実情について

証拠(甲第三号証、第一二号証、第一四号証の1・2、検甲第一、第二号証の各1・2、第三号証の1~3、第四号証ないし第六号証の各1・2、乙第一ないし第一九号証、丙第一ないし第五号証、証人原口重孝、証人村上裕、被告モトキ及び被告貴粧各代表者)に弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。

(一) 宝飾ケースは、リング(指輪)、ネックレス、アクセサリー等の宝飾品を収納することを目的とするケースである。

(二) 宝飾ケースの業界では、昭和二二年設立の株式会社ムラカミ(設立当時の商号は株式会社村上商店、昭和五八年現商号に変更)が草分け的存在であり、シェアも大きかったが、近時、原告代表取締役の父親が戦前から行っていた個人営業を前身として昭和二九年に設立された原告が、宝飾ケースを主力商品として売上げを伸ばしており、売上高で株式会社ムラカミを追い抜くに至っている。株式会社ムラカミの総売上高は二五億円で、そのうち約七割が宝飾ケースの売上げであり、原告の総売上高は三二ないし三五億円で、その大部分が宝飾ケースの売上げである。この大手二社に株式会社アートブレインを加えた三社で日本国内の総売上高の八割程度を占める。

原告の宝飾ケースには「アローケース」、株式会社ムラカミの宝飾ケースには「ツバサケース」という通称があり、これらの通称は、それぞれのカタログの表紙にも記載されている。

(三) 宝飾ケースの取引については、戦前は、小売業者から直接注文を受けたメーカーがその都度注文品を製造するような形が採られていたが、戦後は、株式会社ムラカミが、メーカーの側で商品をデザインして製造し、その現物を持ち込んで注文を取るという方式を採用し、次いで昭和四一年頃には、現物を持ち込む代わりにカタログを制作して顧客に示し、これにより注文を取るという方式を採用するに至り、この方式が業界で一般化している。

原告は、昭和五七年一〇月頃、原告製造販売にかかる宝飾ケース等を掲載したカタログ及びこれに基づく定価表を制作して右のようなカタログ販売の方式を採用し(以後、三年毎に改訂)、昭和六〇年頃には、原告主張の四つの普遍的特徴及び個別的特徴を具えた原告商品をカタログに掲載して製造販売していた。

(四) 宝飾ケースのデザインの決定に当たっては、全くの独創による場合、海外の宝飾ケースや、国内の宝飾ケース以外のケースを参考にする場合、同業者の宝飾ケースを参考にする場合がある。宝飾ケースは、宝飾品を収納するという目的から、一般に好まれる大きさ、形態、色彩等の制約があり(例えば、色彩については、紺、グレー等が多く、ブライダル用のものは蓋に赤、身に白の紅白仕様とされる。)、現在では、カタログ販売されるような商品については、寸法、形状等基本的な形態において各社とも大きな差異のないものが多い。そのため、かえって、顧客(小売店)の側で、カタログにある商品とは色や素材を変える等、個別に注文をすることも多くなっている。

2  原告主張の原告商品の形態の特異性について

原告は、原告商品の形態の特異性につき、原告商品は、宝飾品等のケースとして美術的な美観を具備するために、商品の種類を問わず、四つの普遍的特徴(前記第三の一【原告の主張】1(一)の<1>ないし<4>)を具えているうえに、個別の商品毎に顕著な特徴(別紙原告商品個別的特徴一覧表Ⅰ、同Ⅱ)を具えているから、他社の商品と比較して明白な特異性を有している旨主張するが、右主張の普遍的特徴及び個別的特徴は、以下のとおり、いずれも、形態上の特徴とはいえないか、原告商品の出所を表示するような顕著な特徴とはいえないものである。

(一) 原告主張の四つの普遍的特徴

(1) 原告主張の普遍的特徴の<1>の「蓋と身の両方の外枠は、防錆のためのコーティングを施した鉄板をプレス加工し、又はプラスチック成形し、その外枠に対して特殊な機械により外面が均一になるように緊密にベルベット、合成皮革を貼付したうえ、外面と内側の折込みには全く折込みしわが出ないように加工してある(なお、例外的に木製函を作るときは、最高木材を使用する。)」との点のうち、商品自体の外部からは認識できない蓋と身の外枠の材料(防錆のためのコーティングを施した鉄板、プラスチック)や製法(プレス加工、プラスチック成形、特殊な機械によるベルベット、合成皮革の貼付)に関する事項は、形態上の特徴とはなりえない。また、木製函につき「最高木材」を使用するとの点も極めてあいまいであり、いかなる理由で形態上の特徴となるのか不明というほかはない。

結局、ここでは、右のような材料や製法によった結果として、原告商品の外面が均一であり、外面と内側の折込みに全く折込みしわがないとの点が一応問題となりうるが、本件全証拠によるも、商品の外面が均一であり、外面と内側の折込みに全く折込みしわがないことが、原告商品のみに見られ、他社の商品には見られない特徴であると認めるに足りない。

(2) 同<2>の「蓋の内部にはボール紙を芯としてサテンを内張りしてこれを蓋内部分にはめこんで、蓋を開いた状態で重厚な外観を顕出している」との点のうち、蓋の内部にボール紙を芯としてサテンを内張りしてこれを蓋内部分にはめこむとの点は、材料ないし製法に関する事項であって形態上の特徴とはいい難いばかりでなく、これらの材料ないし製法が特異なものであると認めるに足りる証拠もない。

また、「重厚な外観を顕出している」との点も極めて不明確であり(甲第一二号証〔原告商品を名古屋以東において販売する株式会社原口の代表取締役である原口重孝の陳述書〕には、他社の製品では何となく蓋の内装が浮いているように見えるのに対し、原告商品の上蓋内側には他社の製品にはない堅牢感があり、美術性が際立っている旨の記載があるが、不明確であることに変わりはない。)、これをもって商品表示となりうるような形態上の特徴ということはできない。

(3) 同<3>の「身の部分の台紙(宝飾品等を展示する箇所)の部分には、スポンジを内包してベルベットをかぶせるか、又はベルベットに形成を行って重厚感を持たせるようにセットし、そのセットのための接着に原告が独自に開発した防錆のりを使用し、特に銀装の宝飾品等には防錆の効果を持たせてある」との点のうち、身の部分の台紙(宝飾品等を展示する箇所)の部分にスポンジを内包してベルベットをかぶせるか、又はベルベットに形成を行うとの点、防錆のりを使用するとの点は、材料ないし製法に関する事項であって形態上の特徴とはいい難い。

また、「重厚感を持たせる」との点も極めて不明確であり、これをもって商品表示となりうるような形態上の特徴ということはできない。

(4) 同<4>の「身と蓋の開閉には特殊なバネ付蝶番を使用し、身と蓋の開放状態における角度が正確に八〇度になるようにし、その上に外部からバネ類の露出を妨げるために通称ツリと呼ばれる布製の装飾部品をかけわたしてある」との点のうち、身と蓋の開閉に特殊なバネ付蝶番を使用しているという点については、材料ないし製法に関する事項であるとともに、ツリによってバネ類の露出が妨げられる以上、形態上の特徴ということはできない。

次に、ツリの使用も、証拠(乙第一ないし第四号証、第六、第七号証、第九ないし第一八号証、丙第二ないし第五号証)によれば、株式会社ムラカミ、株式会社アートブレイン、日本ジュエルケース株式会社等の同業他社においても広く行われているところであると認められる。

最後に、身と蓋の開放状態における角度が正確に八〇度になるようにしているとの点については、甲第三号証(原告のカタログ)によれば、原告商品(別紙目録1、2記載のもの)以外の商品も含め、原告の販売する宝飾ケース類のうち開閉式の蓋を有するものの身と蓋の開放状態における角度は相当程度統一されている(八〇度であるかどうかは明らかではない。)ものの、これより小さいと思われるもの(品番R-五一、R-五二、E-五一のほか、RA-六八、R-六八、E-九六等)、大きいと思われるものもある。また、株式会社ムラカミ、株式会社アートブレイン、日本ジュエルケース株式会社等の同業他社のカタログ(乙第一ないし第四号証、第六、第七号証、第九ないし第一八号証、丙第二ないし第五号証)と対比しても、原告の宝飾ケースの身と蓋の開放状態における角度の統一性が必ずしも際立ったものとは認められない。

(二) 原告主張の個別的特徴(原告商品個別的一覧表Ⅰ、同Ⅱ記載のもの)

(1) 原告主張の原告商品品番R-二五〇の個別的特徴である「外形は小判もしくは楕円形になってデザインを台紙か山形でしわ張加工をしてリングが二本差せる仕様」との点については、証拠(乙第一ないし第四号証、第六、第七号証、第九ないし第一八号証、丙第二ないし第五号証)によれば、リングケースで、外形が小判もしくは楕円形であって、デザインを台紙か山形でしわ張加工したものは、株式会社ムラカミ、株式会社アートブレイン等の同業他社の商品においてもみられるごくありふれた形態であると認められ(例えば、株式会社ムラカミの一九七九年版カタログ〔乙第三号証〕掲載の品番六〇五、六〇六、株式会社アートブレインのカタログ〔乙第二号証〕掲載の品番一一八、一一九)、リングが二本差せることも、この種のケースとして特段珍しいものではない(例えば、株式会社ムラカミの一九七九年版カタログ〔乙第三号証〕掲載の品番六〇六-K、六〇六-W、同社のカタログ〔乙第一号証〕掲載の品番六五〇〇-I、六二六六等、株式会社アートブレインのカタログ〔乙第二号証〕記載の品番一一五)。

(2) 原告主張の原告商品品番R-五一、R-五二、N-五五、N-五六、K-五四、P-五三、E-五一、BL-五五の個別的特徴である「リカーフという合成皮革を外装に使用していること」「蓋の角には金の角金を使用したデザイン」との点については、外装に合成皮革を使用することは他社の製品にみられるところであり(例えば、株式会社ムラカミのカタログ〔乙第一号証〕五ページには、同カタログでは合成皮革の材質を表す記号としてSL〔Synthetic Leather〕を使用する旨の記載があり、SLの材質記号を付されたリングケース、ネックレスケース、宝石箱がそれぞれ数点掲載されている。)、そのうちリカーフが原告によって排他的に使用されたと認めるに足りる証拠はなく、また、リカーフを使用することによりいかなる形態上の特徴が生じるのかも明らかではない。蓋の角に金の角金を使用することも、高級感を演出するために他社の製品でも行われており(例えば、株式会社ムラカミのカタログ〔乙第一号証〕掲載の宝石箱品番九七五、九七五-P、九七五-T、同社の一九九三年版カタログ「ジュエリーブライダルパッケージ&ディスプレイ」〔乙第六号証〕掲載のリングケース品番六八六-一、ネックレスケース品番五八六-B、アクセサリーケース品番二八六-B、同年版カタログ「ジュエリーボックス&ギフトパッケージ」〔丙第三号証〕掲載のネックレスケース品番五八六二、アクセサリーケース品番二八六二、リングケース品番六八六二、比較的大きいサンプルケースではあるが、株式会社アートブレインのカタログ〔乙第二号証〕掲載の品番六三五)、それだけで需要者の注意を惹くとは考えられない。

(3) 原告商品品番RK-二〇五、RK-二五〇、RW-二〇五、RW-二五〇、NK-七〇〇、NK-七〇〇E、NK-七〇〇ERに共通する原告主張の個別的特徴は、「オリジナル字体の『寿』金色マーク入り」というものであり、そのほか、RK-二〇五、NK-七〇〇、NK-七〇〇E、NK-七〇〇ERについては「外装は蓋に朱赤のベルベット、身に白のベルベットの赤白仕様特徴的デザイン」、品番RW-二五〇については「RK-二五〇のケースに桐箱と赤白和紙と水引を付けたデザイン。桐箱の蓋表にオリジナル『寿』金色マーク入り」というものである。

しかし、証拠(乙第一ないし第三号証、第六、第七号証、第一四ないし第一八号証、丙第二号証、証人村上裕)及び弁論の全趣旨によれば、外装について、蓋に朱赤のベルベット、身に白のベルベットを使用し、「寿」の金色のマークを蓋の裏に付すのは、ブライダル用の宝飾ケースとして極めて一般的なことであることが認められる(株式会社ムラカミでは、他に先駆けて、遅くとも昭和四五年からこのようなデザインのケースを製造販売しており〔乙第一四号証〕、現在では存続期間が満了しているものの、意匠権を取得したこともある。)。また、証拠(検甲第三号証の1~3、第四号証の1・2)によれば、前記原告商品に付されている「寿」の金色のマークは、株式会社ムラカミ、株式会社アートブレインの商品に付されている「寿」の金色のマークとは字体が相違していることが認められるが、これが、「寿」という文字としての意味を超えて原告商品の出所を表示するほど著しい特徴を有しているとは認められない。

更に、証拠(乙第一ないし第三号証、第六、第七号証、第一四ないし第一八号証、丙第二号証)によれば、ブライダル用の宝飾ケースを桐箱に収納し、その桐箱に赤白和紙と水引を付け、桐箱の蓋表に「寿」の金色マークを入れることも極めて一般的なことであることが認められ(株式会社ムラカミでは、遅くとも昭和四五年にはブライダル用の宝飾ケースを蓋表に「寿」のマークを入れた桐箱に収納したものを〔乙第一四号証〕、昭和五〇年にはその桐箱に赤白和紙と水引を付けたものを〔乙第一七号証〕、昭和五二年には桐箱の蓋表の「寿」のマークを金色としたものを〔乙第一八号証〕製造販売している。)、その「寿」のマークも、前同様、文字としての意味を超えて原告商品の出所を表示するほど著しい特徴を有しているとは認められない。

(4) 原告商品品番N-七〇〇、N-七〇〇E、N-七〇〇ER、N-七一五、NK-七〇〇E、NK-七〇〇ER、NA-七〇〇、NA-七〇〇E、NA-七〇〇ERに共通する原告主張の個別的特徴は、「台紙のオリジナルのしわ張仕様」というものであり、そのほか、N-七〇〇E、NK-七〇〇E、NA-七〇〇Eについては「中央部にスポンジの台があり、イヤリングが収納できるように切り込みのある仕様」、N-七〇〇ER、NK-七〇〇ER、NA-七〇〇ERについては「左側にリング、右側にイヤリングが収納できる仕様」、N-七一五については「外装に金色サガリ止金具を付けたデザイン」というものである。

しかし、証拠(乙第一、第二、第六、第七号証、第一〇ないし第一八号証、丙第二ないし第五号証)及び弁論の全趣旨によれば、ネックレスケースにおいて台紙をしわ張仕様とするのは通常のことであると認められ(このしわ張について、原告商品に他と際立って異なるような特徴があるとも認められない。)、また、中央部にスポンジの台を設けてイヤリングやリング又はその両方を収納できるように切り込みを入れることも(例えば、株式会社ムラカミのカタログ〔乙第一号証〕掲載の品番五二〇-NE、五二〇-NER、五二〇〇-NE、五二〇〇-NER、五二八-NE、五二八-NER、株式会社アートブレインのカタログ〔乙第二号証〕掲載の二一九-NE、二一九-NER、二二一-NE、二二一-NER等)、外装に金色サガリ止金具を付けることも(右乙第一号証掲載の品番五〇一、五二三、右乙第二号証掲載の二五八-NER)珍しくないことが認められる。

(5) 原告主張の原告商品品番四一〇(仕様は一段式宝石箱)、四二〇(仕様は二段式宝石箱)の個別的特徴である「外装はクリーム色の合皮張で蓋表にスポンジを入れて手ざわりを工夫している」、「内装は蓋内部にエンジ朱子を使用し、左上部にオリジナル字体の『Jewel-Box』金色マーク入りのデザイン」、「台紙はエンジベルベットを使用し高級感を出している」との点については、証拠(乙第一、第三号証)及び弁論の全趣旨によれば、宝飾ケースでクリーム色ないしこれに近いベージュ色を使うことは珍しくなく(株式会社ムラカミのカタログ〔乙第一号証〕掲載の品番九三二、九一四等)、蓋内部にエンジ朱子を、台紙にエンジベルベットを使用することも一般的であることが認められる。「手ざわりを工夫している」との主張は、形態上の特徴の主張として具体性を欠く。蓋内部の「左上部にオリジナル字体の『Jewel-Box』金色マーク入りのデザインがある」との点は、右乙第一号証掲載の宝石箱にも多用されているところであり、その字体も際立った特徴があるとはいえず、当該原告商品が宝石箱であるという意味を超えて原告の商品であることを示す表示となっていることを認めるに足りる証拠はない。

(6) 原告主張の原告商品品番一五〇〇の個別的特徴である「どんな幅広リングでも収納できる帯状バネ式リングディスプレー」との点は、形態上の特徴としてはあいまいであるのみならず、証拠(乙第一、第二号証)及び弁論の全趣旨によれば、同様の帯状バネ式のリングディスプレーは株式会社ムラカミ、株式会社アートブレインによっても販売されていることが認められる。

(7) 原告主張の原告商品品番三八〇の個別的特徴である「上部五分の三部分に一〇列溝があり、山部分には真珠のネックレスの寸法が分かる様に釘もしくはスクリーン印刷のマークがある。下部五分の二部分はフリースペースにしている真珠ネックレスの作業台」との点については、証拠(乙第二号証)及び弁論の全趣旨によれば、株式会社アートブレインの販売している真珠ネックレスの作業台(品番八四七)も、上部五分の三程度の部分に一〇列程度の溝があり、下部五分の二程度の部分がフリースペースになっている点において原告商品品番三八〇と共通していることが認められ、山部分に寸法が分かるような釘又はマークがあるかどうかは必ずしも明らかでないが、この程度の差異では、原告商品品番三八〇に出所を表示するような著しい特徴があるとは認められない。

(8) 原告主張の原告商品品番RF-六五の個別的特徴である「丸みを帯びた逆三角形になった小型のリングケース」、「台紙はH型切込みが入っており、リングとイヤリングのどちらでも使用できるようになっている」との点については、証拠(乙第一号証)によれば、株式会社ムラカミが同様のリングケースを製造販売していることが認められ、原告の商品であることを示す特徴ということはできない。

(9) 原告主張の原告商品品番PF-六五の個別的特徴は、「台紙にネックレスとかブレスレットを止めるのにツメがあるが、このツメは従来ブリキに布を張ったものを使用していたが、ブリキに布を張ったツメは、余り細くできず、ネックとかブレスの止め具の環の小さいものには不便していた。当社はそのツメをプラスチックで作り、ネック、ブレス、さらにはペンダントヘッドを止めることもでき、ヒット商品となる」というものである。右の主張は冗長であり、結局外形的特徴に当たるか否かの検討の対象となりうるのは、ツメがプラスチック製であることに帰するというべきであるが、これは、ネックレスやブレスレットの止め具の環の小さいものを止めやすくするという技術的機能に由来するもので直ちに商品表示性を認めることはできず、ツメにプラスチックという一般的な素材(ツメの素材としては一般的でなかったとしても)を使用していることが顕著な特徴であるとも認められない。

3  結論

以上によれば、1認定のとおり、宝飾ケースは寸法、形状等基本的な形態において各社とも大きな差異がないのが実情であり、原告が商品表示性を取得したと主張する原告商品の普遍的特徴及び個別的特徴がいずれも形態上の特徴とはいえないか、原告商品の出所を表示するような顕著なものとはいえないことは2認定のとおりである。

原告は、別紙比較表Ⅰ(ケース比較説明書)及び検甲第一、第二、第四、第五、第六号証の各1・2、第三号証の1ないし3(ケース比較表)のとおり、原告商品と株式会社ムラカミ、株式会社アートブレインの商品との間には形態上明らかな相違がある旨主張するが、これらはいずれも基本的形態を共通にしたうえでの微差というべきものであり、このような差異があるからといって、顧客がその点に注目して取引をすると認めるに足りる証拠はない。

結局、原告商品の形態は、未だ宝飾ケースの取引業者、宝飾品販売業者の間において原告の商品であることを示す商品表示としての機能を取得しているとは認められないといわなければならない。

証拠(甲第一二号証、証人原口重孝)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、毎年二月末に千葉の幕張メッセで行われる国際東京宝飾展において原告商品を含む原告製造販売にかかる宝飾ケース等を展示し、カタログを配布し、また、雑誌「日経ジュエリー」に広告を掲載し、この広告に対する資料請求が多いという理由で同誌から表彰されたこともあることが認められるが、これらの事実によっても右認定を覆すに足りない。

そうすると、原告の不正競争防止法に基づく差止請求及び損害賠償請求(主位的請求)は、その余の点について判断するまでもなく理由がないといわざるをえない。

二  争点3(被告モトキ商品及び被告貴粧商品は原告商品のいわゆるデッドコピーであり、被告による製造販売行為は不法行為に該当するか)

1  原告商品と被告モトキ商品及び被告貴粧商品の類似性

証拠(甲第三ないし第五号証、第一四号証の1・2、検甲第九号証の1~3、第一〇ないし第二〇号証の各1・2、第二一、第二二号証の各1~3、第二三ないし第二五号証の各1・2、第二六号証の1~3、第二七号証の1・2、第二八、第二九号証の各1~3、第三〇号証の1・2、第三一号証の1~3、第三二ないし第三四号証の各1・2、第三五、第三六号証の各1~4、第三七ないし第四四号証の各1・2、第四五号証の1~4、第四六ないし第四八号証の各1・2)に弁論の全趣旨を総合すれば、原告商品(別紙目録1及び2)と被告モトキ商品(別紙目録3)、被告貴粧商品(別紙目録4)とは、左記の対応する品番のものがそれぞれ形状、大きさ、色彩において酷似しているものと認められる。

原告商品(品番) 被告モトキ商品(品番) 被告貴粧商品(品番)

(リングケース)

R-二五〇 R一〇四

R-五一 R八〇一 R-五一〇

RK-二〇五 RK三〇六 RK-三〇六

RK-二五〇 RK一〇四 RK-一〇四

RW-二〇五 RW三〇六

RW-二五〇 RW一〇四 RW-一〇四

R-五二 R-五二〇

RF-六五 R(E)F-六五〇

(ネックレスケース)

N-七〇〇 N二〇六 N-七〇〇

N-七〇〇E NE二〇六 NE-七〇〇

N-七〇〇ER NER二〇六 NER-七〇〇

N-七一五 N二〇七

N-五 N二〇三 N-五〇

N-五五 N八〇四 N-五五〇

NK-七〇〇 NK二〇六

NK-七〇〇E NEK二〇六

NK-七〇〇ER NERK二〇六

NA-七〇〇 N二〇六G

NA-七〇〇E NE二〇六G

NA-七〇〇ER NER二〇六G

NA-五 N二〇三G

N-五六 N-五六〇

(アクセサリーケース)

K-五四 S八〇三 K-五四〇

P-五三 P八〇二 P-五三〇

E-五一 E八〇一 E-五一〇

BL-五五 BL-五五〇

T(B)-五四 T(B)-五四〇

BL-五四 BL-五四〇

PF-六五 PF-六五〇

(宝石箱)

四一〇 J七〇一-K

四二〇 J七〇二-K

(ディスプレー)

一五〇〇 DR三一一〇

三八〇 DL三七〇〇

2  被告モトキの営業状況

証拠、(甲第三、一二号証、乙第一九ないし第二四号証、第二五号証の1・2、証人原口重孝、被告モトキ代表者)に弁論の全趣旨を総合すれば、以下の(一)ないし(四)の事実が認められる。

(一) 被告モトキは、被告モトキ代表者の父元木正信の代からの個人営業(元木工作所)を前身として昭和六〇年七月三〇日に設立された会社であり(当時の商号は有限会社元木工作所)、平成三年七月一二日現商号に変更した(以下、「被告モトキ」という場合には、個人営業の時代の元木工作所を含む。)。

(二) 被告モトキは、当初は金型製作業を営んでいたが、金型製作業が不振になってきたため、昭和五二、三年頃から、元木正信が宝飾ケース製造業者の昭和ケースに以前関ったことのある経験を生かして、宝飾ケースの製造を始めるに至った。

宝飾ケースについての主な取引先(納入先)は当初から笠原ケース株式会社であり、後に原告も取引先に加わった。

原告との間の取引は、原告から有償で商品の材料の提供を受け、これを加工して原告に納入するという製造の下請であり、多いときで全製造品の四割程度を原告に納品していたが、商品の種類は三、四種類程度である。

(三) 被告モトキは、昭和五八年頃から、自社商品の製造販売を開始し、原告の取引先にも販売しようとしたところ、原告から販売しないようにとのクレームがつき、これをきっかけとして昭和六〇年頃、原告との取引関係はなくった。

(四) 被告モトキは、平成三年一一月頃からカタログを制作し、これを販売に利用している。

被告モトキのカタログ(乙第二五号証の1)は、原告のカタログ(甲第三号証)に比べはるかにページ数が少なく(五分の一程度)、原告のカタログの最初の数ページが、「トータルケース」と題して同じ色・素材の各種宝飾ケースを各頁毎に集め、大きめのネックレスケースを上段に、小型のネックレスケースを中段に、リングケース、アクセサリーケース等小さめの宝飾ケースを下段に配した写真によって構成されているのに対し、被告モトキのカタログの最初の十数ページは、各頁毎に同じ色・素材の同種商品を集めた写真によって構成されており、品番等も異なっている。

被告モトキの定価表(乙第二五号証の2)は、業界大手である原告及び株式会社ムラカミの価格を参考に作成されたものであるため、同種商品で原告のものと価格が一致しているものも多い。

3  被告貴粧の営業状況

証拠(甲第五号証、被告貴粧代表者)に弁論の全趣旨を総合すれば、以下(一)ないし(三)の事実が認められる。

(一) 被告貴粧代表者は、平成三年九月一七日、それまで営んでいた文具業に加え、新たな事業展開として被告貴粧を設立して宝飾ケースの販売業を開始した。その販売する宝飾ケースは、当初は輸入品が一〇〇パーセントを占めていたが、現在は、輸入品が三〇パーセント程度、国産品が七〇パーセント程度である。

(二) 被告被告貴粧商品の仕入先は、左記のとおりである。

商品番号 仕入先 仕入先の商品番号

(リングケース)

RK-一〇四 被告モトキ RK-一〇四

RK-三〇六 右同 RK-三〇六

RW-一〇四 右同 RW-一〇四

R-五一〇 吉尾ケース製作所

R-五二〇 右同

R(E)F-六五〇 原告 RF-六五

(ネックレスケース)

N-七〇〇 被告モトキ N-二〇六

NE-七〇〇 右同 NE-二〇六

NER-七〇〇 右同 NER-二〇六

N-五〇 右同 N-二〇三

N-五六〇 吉尾ケース製作所

N-五五〇 右同

(アクセサリーケース)

BL-五五〇 吉尾ケース製作所

K-五四〇 右同

T(B)-五四〇 右同

BL-五四〇 右同

P-五三〇 右同

E-五一〇 右同

PF-六五〇 原告

(三) 被告貴粧のカタログ(甲第五号証)は、原告のカタログに比べはるかにページ数が少ないが(一〇分の一程度)、最初の数ページが、同じ色・素材の各種宝飾ケースを各頁毎に集め、大きめのネックレスケースを上段に、小型のネックレスケースを中段に、リングケース、アクセサリーケース等小さめの宝飾ケースを下段に配した写真によって構成されている点で原告のカタログと共通している。なお、被告貴粧のカタログには、裏表紙に被告貴粧の名が明記されている。

また、被告貴粧の使用する品番は、その多くが、類似する原告商品の品番の末尾に0を付したものである(例外的に、RK-一〇四、RK-三〇六、RW-一〇四については、仕入先である被告モトキの品番をそのまま使用している。)。これは、被告貴粧においては宝飾ケースの「販売の経験者がほとんどいなかったため、もと原告に勤務していた山口という従業員が記憶の便宜のために原告商品の品番に0を付した品番を使用していたのを、被告貴粧としても採用したものである。

4  不法行為の成否

右1認定の原告商品と被告モトキ商品及び被告貴粧商品の類似性の程度に、特に原告商品品番R-五一、R-五二、N-五五、N-五六、K-五四、P-五三、E-五一、BL-五四、BL-五五、T(B)-五四のように、リカーフを使用した光沢あるグレーの宝飾ケースであって、蓋の角に金の角金を使用したデザインを使用した商品については従来株式会社ムラカミ、株式会社アートブレイン等の他社に存在しなかったことを併せ考えると(だからといってこれらの点に商品表示性を認めることができないことは前記一説示のとおりであるが)、被告モトキ商品中品番R八〇一、N八〇四、S八〇三、P八〇二、E八〇一、及び被告貴粧商品中R-五一〇、R-五二〇、N-五五〇、N-五六〇、K-五四〇、P-五三〇、E-五一〇、BL-五四〇、BL-五五〇、T(B)-五四〇は、それぞれ対応する原告商品を模倣したものというべきである。

しかし、本件において原告が被告らの不法行為を理由に損害賠償を求める期間(平成三年一一月一日から平成四年一〇月三一日まで)については、平成五年法律第四七号による改正後の不正競争防止法二条一項三号(商品形態の模倣を不正競争行為とする規定)が附則三条により適用されない結果、単なる商品形態の模倣は不正競争行為とされず、商品表示性、周知性を取得した商品形態の模倣だけが改正前の一条一項一号により不正競争行為とされたこと、右改正後の不正競争防止法においても、右二条一項三号は、商品が通常有する形態を保護の対象から除いているところ、前記一1、2の認定によれば、宝飾ケースについては商品形態選択の余地が少なく、メーカーはデザインの決定に当たって他社の商品も参考にしており(原告も、ブライダルケース〔原告商品品番RK-二〇五、RK-二五〇等〕について、蓋に朱赤のベルベット、身に白のベルベットを使用し、「寿」の金色のマークを蓋の裏に付している点において先行の株式会社ムラカミの商品を参考にしている。)、寸法、形状等基本的な形態において各社とも大きな差異がないのが実情であること、また、右二条一項三号は、発売後三年を経過した商品の形態の模倣には適用されないところ、前記一1(三)の認定によれば、原告は、昭和六〇年頃には、原告主張の四つの普遍的特徴及び個別的特徴を具えた原告商品をカタログに掲載して製造販売していたこと(原告は、原告商品の形態は、昭和六一年には商品表示性、周知性を取得するに至っていると主張する。)、原告は、被告らはあたかも原告の製造した宝飾ケースを販売しているかのように装って顧客に対しセールスを行い、これらの顧客が原告商品と混同したり、原告商品の廉価なコピー商品として購入を申し込むと、定価表の割引率を原告の行っている割引率より引き下げて販売している旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はないこと、被告貴粧については、カタログの構成及び品番に原告のそれとの類似性が認められることから問題もあるが、カタログに被告貴粧という出所を明示しており、原告の宝飾ケースの通称である「アローケース」の表示を使用しているわけでもないことに徴すると、被告らの行為につき未だ不法行為が成立するということはできない。

したがって、不法行為に基づく損害賠償請求(予備的請求)も理由がないというべきである。

第五  結論

よって、原告の請求をいずれも棄却することとする。

(裁判長裁判官 水野武 裁判官 田中俊次 裁判官 本吉弘行)

目録1

(原口ケースの品番)

リングケース

R-250

R-51

RK-205

RK-250

RW-205

RW-250

ネックレスケース

N-700

N-700E

N-700ER

N-715

N-5

N-55

NK-700

NK-700E

NK-700ER

NA-700

NA-700E

NA-700ER

NA-5

アクセサリーケース

K-54

P-53

E-51

宝石箱

410

420

ディスプレー

1500

380

説明書

目録1(モトキ分)

(原口ケースの品番)

形状 外装 リングケース 色彩 素材 蝶番・付属飾り止金 サイズ

R-250 紺 ベルベット 45mm鉄(椎名金属) 106×75×48

R-51 グレー 合皮 30mm鉄(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 66×64×55

RK-205 赤・白 ベルベット 23mm鉄×2ヶ(椎名金属) 110×94×40

RK-250 赤・白 ベルベット 45mm鉄(椎名金属) 106×75×48

RW-205 赤・白 ベルベット・桐 23mm鉄×2ヶ(椎名金属) ケース:110×94×40桐箱:140×120×55

RW-250 赤・白 ベルベット・桐 45mm鉄(椎名金属) ケース:106×75×48桐箱:126×100×62

ネックレスケース

N-700 紺・グレー・茶・エンジ・黒 ベルベット・合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

N-700E 紺・グレー・茶・エンジ・黒 ベルベット・合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

N-700ER 紺・グレー・茶・エンジ・黒 ベルベット・合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

N-715 紺・グレー・エンジ ベルベット・合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属)20mm金色下り(椎名金属) 155×205×45

N-5 紺・グレー・茶・エンジ・黒 ベルベット・合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 234×60×30

N-55 グレー 合皮 20mm鉄×2ヶ(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 248×62×26

NK-700 赤・白 ベルベット 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

NK-700E 赤・白 ベルベット 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

NK-700ER 赤・白 ベルベット 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

NA-700 白 合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

NA-700E 白 合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

NA-700ER 白 合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

NA-5 白 合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 234×60×30

アクセサリーケース

K-54 グレー 合皮 20mm鉄×2ヶ(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 100×80×44

P-53 グレー 合皮 45mm鉄(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 80×84×40

E-51 グレー 合皮 30mm鉄(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 66×64×55

宝石箱

410 クリーム 合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属)P-131銀(横谷商店) 200×140×50

420 クリーム 合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属)P-131銀(横谷商店) 200×140×70

ディスプレー

1500 白・パープル・ベージュ・ピンク 合皮 38×42×12

380 グレー 別珍 534×216×26

目録2

(原口ケースの品番)

リングケース

RK-250

RK-205

RW-250

R-51

R-52

RF-65

ネックレスケース

N-700

N-700E

N-700ER

N-5

N-56

N-55

アクセサリーケース

BL-55

K-54

T(B)-54

BL-54

P-53

E-51

PF-65

説明書

目録2(貴粧分)

(原口ケースの品番)

形状 外装 リングケース 色彩 素材 蝶番・付属飾り止金 サイズ

RK-250 赤・白 ベルベツト 45mm鉄(椎名金属) 106×75×48

RK-205 赤・白 ベルベット 23mm鉄×2ヶ(椎名金属) 110×94×40

RW-250 赤・白 ベルベット・桐 45mm鉄(椎名金属) ケース:106×75×48桐箱:126×100×62

R-51 グレー 合皮 30mm鉄(椎名金属)15mmコーサー金具×2ヶ(松尾産業) 66×64×55

R-52 グレー 合皮 20mm鉄(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 75×75×45

RF-65 ピンク・ブルー・グレー・ミントグリーン フレンチパイル(アセテート・ナイロン) 23mm鉄(椎名金属) 50×50×33

ネックレスケース

N-700 紺・グレー・茶・エンジ・黒 ベルベット・合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

N-700E 紺・グレー・茶・エンジ・黒 ベルベット・合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

N-700ER 紺・グレー・茶・エンジ・黒 ベルベット・合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 178×110×42

N-5 紺・グレー・茶・エンジ・黒 ベルベット・合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属) 234×60×30

N-56 グレー・黒 合皮 24mm鉄×2ヶ(椎名金属)20mm金色下り×2ヶ(椎名金属)18mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 160×180×38

N-55 グレー 合皮 20mm鉄×2ヶ(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 248×62×26

アクセサリーケース

BL-55 グレー 合皮 20mm鉄(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 248×62×26

K-54 グレー 合皮 20mm鉄(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 100×80×44

T(B)-54 グレー 合皮 20mm鉄(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 100×80×44

BL-54 グレー 合皮 20mm鉄(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 100×80×44

P-53 グレー 合皮 45mm鉄(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 80×84×40

E-51 グレー 合皮 30mm鉄×2ヶ(椎名金属)15mmコーナー金具×2ヶ(松尾産業) 66×64×55

PF-65 ピンク・ブルー・グレー・ミントグリーン フレンチパイル(アセテート・ナイロン) 23mm鉄(椎名金属) 50×50×33

目録3

(モトキの品番)

リングケース

R104 定価 ¥770

R801 定価 ¥1,660

RK306 定価 ¥1,030

RK104 定価 ¥830

RW306 定価 ¥3,230

RW104 定価 ¥2,740

ネックレスケース

N206 定価 ¥1,140

NE206 定価 ¥1,190

NER206 定価 ¥1,250

N207 定価 ¥3,230

N203 定価 ¥740

N804 定価 ¥2,530

NK206 定価 ¥1,250

NEK206 定価 ¥1,300

NERK206 定価 ¥1,355

N206G 定価 ¥1,700

NE206G 定価 ¥1,800

NER206G 定価 ¥1,900

N203G 定価 ¥1,000

アクセサリーケース

S803 定価 ¥1,940

P802 定価 ¥1,850

E801 定価 ¥1,660

宝石箱

J701-K 定価 ¥5,200

J702-K 定価 ¥5,700

ディスプレー

DR3110 定価 ¥250

DL3700 定価 ¥5,400

目録4

(貴粧の品番)

リングケース

RK-104 定価 ¥830

RK-306 定価 ¥1,030

RW-104 定価 ¥2,740

R-510 定価 ¥1,660

R-520 定価 ¥2,120

R(E)F-650 定価 ¥280

ネックレスケース

N-700 定価 ¥1,140

NE-700 定価 ¥1,190

NER-700 定価 ¥1,250

N-50 定価 ¥740

N-560 定価 ¥3,850

N-550 定価 ¥2,530

アクセサリーケース

BL-550 定価 ¥2,530

K-540 定価 ¥1,940

T(B)-540 定価 ¥1,940

BL-540 定価 ¥2,000

P-530 定価 ¥1,850

E-510 定価 ¥1,660

PF-650 定価 ¥280

原告商品写真目録

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

被告モトキ商品写真目録

<省略>

<省略>

<省略>

被告貴粧商品写真目録

<省略>

<省略>

<省略>

<省略>

原告商品個別的特徴一覧表Ⅰ

(被告モトキ商品対応分)

ケース(リング)

品番 <5>特徴

R-250 外形は小判もしくはだ円形になってデザインを台紙か山形でしわ張加工をしてリングが2本差せる仕様

R-51 リカーフという合成皮革を外装に使用していること蓋の角には金の角金を使用したデザイン

RK-205 外装は蓋に朱赤のベルベット、身に白のベルベットの赤白仕様特徴的デザイン蓋の内部にオリジナル字体の「寿」金色マーク入りそのマークの「寿」は当社の字体である

RK-250 オリジナル字体の「寿」金色マーク入り

RW-205 オリジナル字体の「寿」金色マーク入り

RW-250 RK-250のケースに桐箱と赤白和紙と水引を付けたデザイン桐箱の蓋表にオリジナル「寿」金色マーク入り

ケース(ネックレス)

品番 <5>特徴

N-700 台紙のオリジナルのしわ張仕様

N-700E 台紙はオリジナルのしわ張にして、中央部にスポンジの台があり、イヤリングが収納できるように切り込みのある仕様

N-700ER 台紙はオリジナルのしわ張にして、左側にリング、右側にイヤリングが収納できる仕様

N-715 外装に金色サガリ止金具を付けたデザイン台紙はオリジナルのしわ張である

N-55 R-51と同じ

NK-700 RK-205と同じ

NK-700E NK-700、N-700Eと同じ

NK-700ER NK-700、N-700ERと同じ

NA-700 N-700と同じ

NA-700E N-700Eと同じ

NA-700ER N-700ERと同じ

ケース(アクセサリー)

品番 <5>特徴

K-54P-53E-51

R-51と同じ〃〃

ケース(宝石箱)

品番 <5>特徴

410 外装はクリーム色の合皮張で蓋表にスポンジを入れて手ざわりを工夫している内装は蓋内部にエンジ朱子を使用し、左上部にオリジナル字体の「Jewel-Box」金色マーク入りのデザイン台紙はエンジベルベットを使用し高級感を出している。仕様は一段式宝石箱

420 外装、内装、台紙は「410」と同じ仕様は二段式宝石箱

ディスプレー

品番 <5>特徴

1500 どんな幅広リングでも収納できる帯状バネ式リングディスプレー

380 上部<省略>部分に10列溝があり、山部分には真珠のネックレスの寸法が分る様に釘もしくはスクリーン印刷のマークがある下部<省略>部分はフリースペースにしている真珠ネックレスの作業台

原告商品個別的特徴一覧表Ⅱ

(被告貴粧商品対応分。但し、一覧表Ⅰに記載したものは除く。)

ケース(リング)

品番 <5>特徴

R-52 R-51と同じ

RF-65 丸みを帯びた逆三角形になった小型のリングケース台紙はH型切り込みが入っており、リングとイヤリングのどちらでも使用できるようになっている。

ケース(ネックレス)

品番 <5>特徴

N-56 R-51と同じ

ケース(アクセサリー)

品番 <5>特徴

BL-55 R-51と同じ

PF-65 台紙にネックレスとかブレスレットを止めるのにツメがあるが、このツメは従来ブリキに布を張ったものを使用していたが、ブリキに布を張ったツメは、余り細くできず、ネックとかブレスの止め具の環の小さいものには不便していた。当社はそのツメをプラスチックで作り、ネック、ブレス、さらにペンダントヘッドを止めることもでき、ヒット商品となる

ケース比較説明書 No.1

比較表Ⅰ

原口ケース ムラカミ アートブレイン

品番 品番 類似点 相違点 品番 類似点 相違点

R-250 606 ・台紙の形 ・開閉角度・外張にしわがある・外形・サイズ・台紙のシワの形 119 ・台紙の形 ・開閉角度・外張にしわがある・サイズ・外形・台紙のシワの形・ヤローが布張

RK-205 616K ・紅白 ・開閉角度・外張にしわがある・サイズ・外形・本体がプラスチック・「寿」の書体・台紙の張り方・台紙の2重枠の色 127 ・紅白 ・開閉角度・外張にしわがある・サイズ・「寿」の書体・台紙の形・フタの形

RK-250 606K ・紅白 ・開閉角度・外張にしわがある・外形・サイズ・「寿」の書体・フタに飾り金具がついている・台紙のしわの形 119 ・紅白 ・開閉角度・外張にしわがある・外形・サイズ・「寿」の書体・台紙のシワの形・ヤローが布張

RW-205 616W ・紅白 ・PK-205と同じ(その他)・外箱・水引きの形・包装の方法 125 ・紅白 ・RK-205と同じ(その他)・桐箱・台紙の素材・台紙の形・台紙の張り方

RW-250 606W ・紅白 ・PK-250と同じ(その他)・外箱・水引きの形・包装の方法 119 ・紅白 ・RK-250と同じ(その他)・桐箱

ケース比較説明書 No.2

比較表Ⅰ

原口ケース ムラカミ アートブレイン

品番 品番 類似点 相違点 品番 類似点 相違点

N-700 5020 ・外形 ・開閉角度・外張にしわがある・天台紙のツメの位置・台紙のツメの方向・台紙のシワの形 221 ・外形 ・開閉角度・外張にしわがある・サイズ・台紙のツメの位置・フタの形

N-700E 5020-NE ・外形 ・N-700と同じ(その他)・イヤリング止めの形と位置 219NE ・外形 ・N-700と同じ(その他)・イヤリング止めの形

N-700ER 5020-NER ・外形 ・N-700,N-700Eと同じ(その他)・リング差口の形と位置 219NER ・外形 ・N-700,N-700Eと同じ(その他)・イヤリング止めの位置・リング差口の形と位置

N-715 528 ・なし ・開閉角度・外張にしわがある・外形・サイズ・止金具がない・本体が木製・天台紙にリボンがついている・天台紙の形・天台紙のツメの位置 261-NR ・なし ・開閉角度・外張にしわがある・サイズ・外形・リング差口がついている・止め金具の形・天台紙にツメがない・本体が木製

N-5 5100 ・外形 ・開閉角度・外張にしわがある・サイズ・フタの形・ツリの長さ 209 ・外形 ・開閉角度・外張にしわがある・サイズ・フタの形・ツリの長さ・ツメの方向

ケース比較説明書 No.3

比較表Ⅰ

原口ケース ムラカミ アートブレイン

品番 品番 類似点 相違点 品番 類似点 相違点

NK-700 5025-KW ・紅白 ・N-700と同じ(その他)・「寿」の書体・桐箱がついている・水引き、のしがついている・外箱の形 219 ・紅白 ・N-700と同じ(その他)・「寿」の書体・外箱上部に赤のラインがある

NK-700E 5025-KNEW ・紅白 ・N-700Eと同じNK-700と同じ 219-NE ・紅白 ・N-700Eと同じ・NK-700と同じ

NK-700ER 5025-KNERW ・紅白 ・N-700ERと同じ・NK-700と同じ 219-NER ・紅白 ・N-700ERと同じ・NK-700と同じ

NA-700 520 ・外形 ・開閉角度・外張にしわがある・サイズ・フタの形・素材・色・台紙のシワの形・台紙のツメの方向・本体がプラスチック・天台紙にスポンジが無い 221 ・外形 ・開閉角度・外張にしわがある・サイズ・フタの形・色・素材・台紙のシワの形・台紙のツメの位置と方向

NA-700E 520-NE ・外形 ・NA-700と同じ・N-700Eと同じ 219-NE ・外形 ・N-700Eと同じ(その他)・色・素材

NA-700ER 520-NER ・外形 ・NA-700と同じ・N-700ERと同じ 219-NER ・外形 ・N-700ERと同じ(その他)・色・素材

ケース比較説明書 No.4

比較表Ⅰ

原口ケース ムラカミ アートブレイン

品番 品番 類似点 相違点 品番 類似点 相違点

NA-5 572-B ・外形 ・N-5と同じ(その他)・色・素材 209 ・外形 ・N-5と同じ(その他)・色・素材

410 950 ・用途 ・外形・サイズ・止め金具・マークが無い・色・素材 525 ・なし ・外形・色・素材・内装・マークが無い

420 902 ・用途 ・外形・止め金具・マーク・色・素材 533 ・なし ・外形・止め金具・色・素材・内装・マークが無い

1500 1022 ・外形 ・なし 712 ・用途 ・外形・サイズ

380 883 ・用途 ・サイズ・外形・寸法ゲージがない・角金がない・色・素材 847 ・外形 ・角金がない

比較表Ⅱ

ケース品番比較表 No.1

原口ケース品番 モトキ品番 ムラカミ品番 アートブレイン品番

PG リングケース PG リングケース PG リングケース PG リングケース

17163333 R-250R-51RK-205RK-250RW-205RW-250 12015151515 R104R801RK306RK104RW306RW104 337373737 606受注生産616K606K616W606W 乙3乙1乙1乙1乙1 2721212020 109127119125119 乙2乙2乙2乙2乙2

ネックレスケース ネックレスケース ネックレスケース ネックレスケース

20212120231933320212123 N-700N-700EN-700ERN-715N-5N-55NK-700NK-700ENK-700ERNA-700NA-700ENA-700ERNA-5 444432015151514141414 N206NE206NER206N207N203N804NK206NEK206NERK206N206GNE206GNER206GN203G 26262627248882525259 50205020-NE5020-NER5285100受注生産5025-KW5025-KNEW5025KNERW520520-NE520-NER572-B 乙1乙1乙1乙1乙1乙6乙6乙6乙1乙1乙1乙6 343636363322222234363633 221219NE219NER261-NR209219219-NE219-NER221219-NE219-NER209 乙2乙2乙2乙2乙2乙2乙2乙2乙2乙2乙2乙2

アクセサリーケース アクセサリーケース アクセサリーケーマ アクセサリーケース

312727 K-54P-53E-51 202020 S803P802E801 受注生産受注生産受注生産

宝石箱 宝石箱 宝石箱 宝石箱

42 410420 1616 J701-KJ702-K 8686 950902 乙1乙1 4343 525533 乙2乙2

デイスプレー デイスプレー デイスプレー デイスプレー

8091 1500380 2121 DR3110DL3700 4537 1022883 乙1乙5 1516 712847 乙2乙2

No.2

原口ケース品番 他社品番

PG リングケース PG リングケース 社名

17163333 R-250R-51RK-205RK-250RW-205RW-250 155 NA-50受注生産A-105紅白A-101紅白受注生産受注生産 日本ジュエルケース三富子ケース、上田ケース日本ジュエルケース日本ジュエルケース三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース 乙7乙7乙7

ネックレスケース ネックレスケース

20212120231933320212123 N-700N-700EN-700ERN-715N-5N-55NK-700NK-700ENK-700ERNA-700NA-700ENA-700ERNA-5 2265 A-700受注生産A-700RE受注生産A-121受注生産A-123紅白受注生産受注生産受注生産受注生産受注生産受注生産 日本ジュエルケース三富子ケース、上田ケース日本ジュエルケース三富子ケース、上田ケース日本ジュエルケース三富子ケース、上田ケース日本ジュエルケース三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース 乙7乙7乙7乙7

アクセサリーケース アクセサリーケース

312727 K-54P-53E-51 受注生産受注生産受注生産 三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース

宝石箱 宝石箱

42 410420 受注生産受注生産 三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース

デイスプレー デイスプレー

8091 1500380 受注生産受注生産 三富子ケース、上田ケース三富子ケース、上田ケース

比較表Ⅲ

ケース比較3 寿ケース

項目 製造社名 原口ケーマ(株) ムラカミ アートブレイン 日本ジュエル (有)モトキ

品番 RK-205 616K 127 A-105紅白 RK306

フタの形状 丸い

サイズ 110×93×38 110×86×50 113×94×41 114×94×42 110(114)×92×42 台紙 開閉部と面一 しわ張りである 開閉部と面一でない RK306( )内は実際のサイズ。RK205のカタログ上のサイズは110×94×40

台紙の差口 長方形(白) 丸みを帯びた長方形(赤) 六角形(赤) 長方形(白)

天台紙 クッション入りの見返し式 包み式の枠天 クッション無しの見返し式 クッション入りの見返し式

天台紙のマーク 大きい 書体が違う 小さい RK306に良く似ている

本体 鉄板 プラスチック 鉄板 鉄板(ユニジンク使用)

外箱の仕様 紙の柄が違う 蓋の縁が赤い 二見工業(株)平和印ニューエボシ(NE)No.200パール加工

外箱のマーク 書体が違う 書体が違う

台紙差口の外回り使用材 ボール紙 プラスチック

バネ蝶番 23m/m 2ケ使用 43m/m 1ケ使用

上蓋・下蓋の爪カシメ方向 内一内ヘカシメる 内一外ヘカシメる

ケース比較4 寿ケース

項目 製造社名 原口ケース(株) ムラカミ アートブレイン 日本ジュエル (有)モトキ

品番 RK-250 606K 119 A-101 紅白 RK104

サイズ 104×74×47 104×82×50 105×82×43 111×75×43 106×75×48

台紙の形状 かなり高い(しわが違う) やや高い(しわが違う) RK104と良く似ている

ヤロー プラスチック プラスチック 布張り プラスチック

天台紙のマーク 大きい 書体が違う 小さい RK104と良く似ている

外見 丸い蓋に飾り金具が付いている 丸い

天台紙枠材 ボール プラスチック

ケース比較5 ネックレスケース

項目 製造社名 原口ケース(株) ムラカミ アートブレイン 日本ジュエル 昭和ケース (有)モトキ 備考

品番 N-700 5020 221 A-700 210 N-206

サイズ 179×109×39 179×108×41 225×123×44 180×120×52 173×108×42 177×110×40

台紙の形状 しわが違う しわが違う しわが違う しわが違う しわが違う 台紙の爪 方向が違う 位置が違う 方向同じ 方向同じ ヤロー プラスチック プラスチック 布張り プラスチック プラスチック プラスチック 同一商品でも均一でない事が多い

天台紙 クッション人 無し 無し クッション入 クッション入

天台紙の爪位置 中央やや上 中央上 中央 中央上 中央やや上 中央やや上

天台紙の爪材質 ベルベット ベルベット サテン ベルベット ベルベット ベルベット

外見 蓋が丸い 上と底の蓋が同じ

開閉角度 73~75度 約78度 75~77度

上蓋・下蓋の爪カシメ方向 内-内ヘカシメる 内-内ヘカシメる 内-内ヘカシメる 内-外ヘカシメる

ケース比較6 ネックレスケース

項目 製造社名 原口ケース(株) ムラカミ アートブレイン (有)モトキ 備考

品番 N-715 528 261-NR N207

サイズ 157×206×47 155×205×42 150×200×45 157×203×50

台紙 しわが違う取外し式 しわが違うリング差口が付いている しわが違う 乙1 に出てくる528は取外し式ではない

ヤロー プラスチック 布張り 布張り(紐付き) 布張り・ボール芯

天台紙の爪 向きが違う 爪が無い

本体止金具 無し 種類が違う

本体の材質 鉄板 プラスチック 木製 鉄板

外見 丸みがある やや角っぽい 角っぽい

開閉角度 小さい やや大きい 大きい 76~78度

上蓋・下蓋の爪カシメ方向 内-内ヘカシメる 内-外ヘカシメる

比較写真目録

比較表Ⅳ

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